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ラスターのワールドファイル

TraceMasterMultiX Ver2.1Gでラスター補正機能がサポートされましたので、これを機にラスターのワールドファイルについて説明をしたいと思います。

GIS業界では『GeoTiff』という言葉が知られていますが、表題にも記述しました『ワールドファイルって?』という方が多いと思います。

『GeoTiff』だけが一人歩きしてしまっている雰囲気がありますので、簡単に言葉の定義を説明したいと思います。

原則は、【ラスターファイル + ワールドファイル】で、ワールドファイルとは、対応するラスターデータの外部ファイルに位置情報を記述したものになります。
ラスターといえば、Tiffだけでなく、JpegやBmpがあります。
では、位置情報を持ったjpeg、bmpというラスターデータはあるのか?という疑問が出ますが、答えは『あります』です。

Tiff  ⇒ ワールドファイル拡張子 tfw
Jpeg ⇒ ワールドファイル拡張子 jgw
Bmp ⇒ ワールドファイル拡張子 bpw

となっています。
拡張子の定義としては、ラスターデータの先頭と最後の文字に【w】を付けたものとしています。

では、『ワールドファイル』と『GeoTiff』の違いは?ということになりますが、外部ファイルとして位置情報を添付するのに対し、『GeoTiff』はTiffファイル自体に位置情報を組み込んだものになります。

ようするに、 『Tiff + ワールドファイル』 と 『GeoTiff』は同じものということです。

『GeoTiff』は1ファイルになってしまいますので、それ自体では位置情報を持ったものかどうかの判断ができません。
また、Tiff自体がバイナリ形式なので、修正が簡単に行えないという扱い難さがあります。
(そのかわりに、座標系などワールドファイルより情報量が多い利点はあります)
用途や使用するソフトウェアなどで、使い分けられているのが現状です。

『ワールドファイル』は、通常のTiff(jpeg、bmpでも同じです)と、同一ファイル名のワールドファイル(.tfw)がペアになります。
この二つのファイルはソフトウェアで読込む時には、同一フォルダーに置く必要があります。
ワールドファイルはテキストなので、メモ帳などで簡単に見ることができ修正も簡単です。

理屈さえわかれば、jpegの画像があって、写っているポイントの座標とラスターのピクセル数がわかれば、メモ帳などでワールドファイルを作成して、GISで利用することができます。

これは、とある場所のワールドファイルをワードパットで開いたものです。

ワールドファイルといっても、これだけの情報しかありません。
(6種のパラメータで、必ずこの順番で並べます)

各項目の説明をします。

0.03175000 Xスケール(1ピクセルのX方向の長さ)
0.00000000 X方向の回転角度(一般的には0°)
0.00000000 Y方向の回転角度(一般的には0°)
-0.03175000 マイナスYスケール(1ピクセルのY方向の長さ)
61734.61776158 ラスターデータの左上中心位置のX座標(又は東経)
178407.93999362 ラスターデータの左上中心位置のY座標(又は北緯)

各々のパラメータを求める計算式がありますが、数学のお勉強になってしまうので、ここでは説明を省きます。
(興味のある方はご一報ください)

TraceMasterMultiX Ver2.1Gのラスター編集では、ワールドファイルの無いTiffを使用しても、ベクトルデータに座標があれば、その座標を元にワールドファイルを自動的に作成してくれます。

これからは、単なるラスターデータではなく、ワールドファイルを使用して、より現況に近いデータ作成を目指して行きたいものです。

TraceMasterMultiXで、Jpeg画像(jgw)とGeoTiff、MDベクトルを表示しました。